決して何かに委ねることなく、凄まじい熱で彩られた楽曲とライブパフォーマンスで活動を繰り広げてきたlocofrank。そんな彼らが、主催する773Four RECORDSをよりDIYにするべく、すべての運営面を自らの手で行うと発表したことは記憶にも新しいだろう。  そして、新しい体制となった第一歩として、バンドの存在証明を突き詰めた6thフルアルバム『Returning』を完成させた。メンバーも語っているが、あの衝撃的デビューを飾った1stミニアルバム『Starting AGE』を彷彿とさせるような瞬発力を持ちながら、これまで培ってきたバンドの幹をより強靭にした内容となっており、実に鮮烈で奥行きのある作品となっている。   interview by ヤコウリュウジ

オレらで全部を決めなくちゃいけない責任感がある

――せっかくの機会なのでお訊きしますけど、歩みを共にしてたスタッフが離れ、今年から773Four RECORDSの体制が変わりましたよね。そのことで不安になったファンも多かったと思うんです。

Tatsuya(Dr./Cho.) 「locofrankは大丈夫なの?」っていうね。

――いろんな憶測もありましたが、簡単に言えば、バンド主体で立ち上げたレーベルの運営をメンバーのみでやっていくことになったという。

森勇介(G./Vo.) ですね。この3人だけでやっていくっていう。

――実際、こういった形になったとき、気持ちとしてはどうだったんですか?

木下正行(Vo./Ba.) 最初は手探りでしたよ。それまでやってなかったことをやらなアカンかったし。でも、locofrankを止めない為の選択がそれやったし、やらなしゃあなかったから。

――いやらしい質問かもしれませんが、これまでの実績もあるわけですし、大手のレコード会社やマネージメントをパートナーにするという選択肢もあったのかなと。

Tatsuya それはね、ここやから言えることやけど、考えはしましたよ。歩みを止めないって決めたとき、全部フラットにして、いろんな知り合いにも話を聞きに行ったし。ただ、もし誰かと一緒にやるとしたら、向こうにもこっちにも条件があるわけじゃないですか。

――まあ、locofrankは意外とめんどくさいバンドですからね(笑)。

 意外とじゃなくて、まんまめんどくさい(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

 オレらが「何でも全部やります!」っていうんやったら別だろうけど、オレらはオレらでやりたいことがあるし。

Tatsuya で、いろんな話をした結果、決定するまでちょっと時間はかかったけど、「自分たちでやるのが手っ取り早いんちゃうかな?」って。それがいちばんわかりやすい形やろうし。

木下 もちろん、自分たちだけでは手が回らない作業はあるし、専門的なところは信頼できる人たちに力を借りながらですけどね。

――バンドの意向をしっかりと伝えた上で「手を貸していただけませんか?」といった?

Tatsuya ですね。そこに対して、凄い熱量で手伝ってくれる人たちもいるし。ありがたい話やし、凄くやりやすいですよ。オレらが軸となって、ちゃんと意思決定できるっていうのもあるし。

――すべてにおいて、自分たちの匂いがするみたいな。

Tatsuya ただ、当たり前やけど、オレらで全部を決めなくちゃいけない責任感はありますよね。制作のスケジュールから何から。

――自分たちが進める作業の締切を自分たちで決めるっていうのもなかなかシビアですよね。

木下 でも、オレらはケツを決めんとなかなか本腰を入れられないような性格やから、そういう意味では合ってるのかなと。そこに至るプロセスも把握してるから、やり甲斐もあるし。

簡単に言えば『Starting AGE』を作ったときみたいな感覚

――そういったバンドのスタンスがすっきりしてから、楽曲の制作をスタートさせたんですか?

木下 いや、そこは同時進行でした。

Tatsuya 実際、レコーディングの日程がある程度決まった段階でも、まだどういった形でCDをリリースするのか決まってなかったぐらいやし。

――今後に関して、不透明なモノがある状態でも制作に集中できました?

 そこは問題なかったですね。locofrankは止めないって強く決めたけれど、気持ち的には崖っぷちだったし、「いつ終わるかわからへん」って状況にも追い込まれたわけで。

――実際、バンドの歩みは決して止めないと決めつつも、何がどうなるかわからない部分もあったわけですからね。

 だから、「この作品が最後でも構わない」ぐらいの意識で楽曲制作に入れてたんですよ。

――となると、これまでの作品もそうなんでしょうけど、今回は特別な想いを持って制作をしたという。

木下 いつも作品を作るとき、コンセプトなんて考えたことはないけど、曲を作る意味はいつも絶対にあって。そういうところでは、「今のlocofrankに何ができるねん?」とか「今のlocofrankとは?」を凄く考えたし、反骨心とか感謝もあったり。あと、完成した後も出し切って終わる感が一切なくて。次に対しての保険を残すっていう意味じゃなくて、「これを出したら絶対にまた続いてく」っていう何かわからん自信みたいなモノがあったというか。

――個人的には、『Starting AGE』を初めて聴いたときのインパクトを思い出したんです。「まだ先があったのか!?」と驚いたし。

木下 ありましたよね、伸びしろ(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

 たぶん、メンバーそれぞれに好きなモノがあったり、locofrankに対して思うところはありながら作ってきたと思うけど、今回はそれすらも凌駕しちゃったみたいな。なんかこう、簡単に言えば『Starting AGE』を作ったときみたいな感覚。だから、細かいこと抜きで、「この曲かっけぇ!」とか思いながらやってたし。

――凄くシンプルな感覚ですよね。「この曲にはこういう要素を入れて…」とかじゃなくて。

 そうそう! 「この曲、3人でやったら絶対にかっけぇじゃん!」みたいなところに戻れた。もちろん、曲を作って思うことは言い合うんだけど、制作作業がホントに楽しくて。

Tatsuya アレンジをしてて、ぶつかるところはぶつかったけど、着地点はすぐ見つかったし。

木下 「ここに着地したらアカン」っていうのがなかったもんな。

 なかったね。

――それでいて、凄くすっきりしてて発信力が強い楽曲が並んでいるなと感じました。

Tatsuya 自分らのやりたいことを出してるんやけど、ちゃんと真ん中にlocofrankっていうのがしっかりしてたんやと思う。それが17年、積み重ねてきた結果なのかな。

 あと、あんまり小難しいことじゃなく、すっきりした曲が根本に好きなんやと思う。もちろん、それができてるバンドは羨ましいし、カッコいいとも思う。ただ、オレらがガキだったころに好きになったメロコアはシンプルかつわかりやすさがあって。

Tatsuya でも、心と体にグッとくるみたいな。

 そう、あの感覚だね。だから、今回はとにかくlocofrankがカッコいいと思うモノになったんだろうなと。

何ふり構わずというのはこういうことなんやな

――ずっとリピートして聴いてて、「何がこの良さを生み出してるんだろう?」と考えたとき、結論としては1曲目を飾ってる「CALLING」の最初の歌なんです。いきなりスパーンと始まる歌が持つキレと力強さがそうさせてるのかなと。

木下 ホンマに? もうちょっと優しく歌ったらよかったかなって思ったりもしたけど(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

 でも、それもそうというか。バックのギターはクリーンなんだけど、ちゃんと正行の節になってるから、凄くlocofrankなんだろうし。「あの始まりがいいね」ってみんな言ってくれますね。

――あの鮮烈さが作品を引っ張ってるようにも思えたりしてて。

Tatsuya 「CALLING」は、別に1曲目になると思って作ってたわけやなかったんだけど、出来上がったときに全員が「これは1曲目やな」って言って。そういえば、最初はイントロとかもあったけど、なんかインパクトが足らへんと思って、いきなりサビから歌うようになったり。

木下 さっき言ってくれたようなことをオレらも思ったんやろうな。

Tatsuya で、それでやってみたらハマったっていう。

――それこそ、従来の流れだったら、最後を締め括ってる「HOME」を1曲目にしたんじゃないかと。ああいうイントロを作品の幕開けにしそうだし。

Tatsuya あ~、なるほど。たしかに、これまで出してきた作品って大体がそうかも。

――ただ、ああいったコーラスは今までなかったですけどね(笑)。

 振り切ってるでしょ?(笑)

Tatsuya プリプロをしてるとき、勇介が「この曲だけはコーラスをちょっと好きにやらせてくれて」って言い出して。で、どうなったのかと聴いてみたら「いきなり!?」っていう(笑)。

 あれも前だったら絶対にできなかったと思う。

――おそらく、同じ曲ができてたとしても、スタンスや体制が違ったら……

Tatsuya 全然違うモノになってたと思う。

木下 人間ってたぶんそうなやろうなっていうか。「ホンマに後がない」とか「今のlocofrankってどうなん?」って自分たちで生んだ恐怖心と向かい合ったとき、何ふり構わずというのはこういうことなんやなと感じたりもして。思い立ったことを全部やる。それが研ぎ澄まされてシャープにバーンっと出たとき、意識はしてなかったけど、今までにはちょっとなかったような始めのころの勢いとかに繋がってくれたのかなって。

「最悪、全員で自己破産して終わろうぜ!」って(笑)

――作品を重ねてくると、知識や経験が増えてくるわけで。そういった中で純粋に振り切った、理屈を超えた感覚を優先できたのがいいですよね。

Tatsuya 振り返ってみれば、「前回の作品を超えるような何かをしなきゃいけない」っていう邪念がこれまでは絶対にあったと思う。それが、なくなったというか、どうでもよくなったみたいな。

 「そこを重視してもしようがねえな」っていう気持ちになったかな。

Tatsuya 今回、失敗したらそのまま自分らに降りかかってくるわけやから、リアルに次がないかもしれない。そういう状況になったとき、「ケツを拭くのも自分らやし、やったらええやん」って思えたりもして。そうなるとすっげえ楽やし、「最悪、全員で自己破産して終わろうぜ!」って(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

 ホンマにTatsuyaが言ったみたいに前作の5thフルアルバム『Signs』を意識して作ったら、この振り切った内容にはならへんかったと思うな。

――いろんな状況がそうさせた部分もあるんでしょうけど、3人の意識が共通して振りきれたっていうのがいいバンドである証拠とでも言いますか。

Tatsuya ここに行き着くまでに17年かかってますけど(笑)。

木下 ただ、この17年は無駄じゃなかったし。その経験があったからこそ、今回みたいな出来事に直面しても踏ん張れたから……まあ、ホンマにキツかったけど(笑)。

――バンドの生き方の選択を迫られたわけですから、楽ではなかったと想像します。

木下 今やから笑えるけど、いい経験になりましたよ。この3人でよかったと思うし、ホンマに。

 解散しなくてよかったなって。2年前ぐらいとか「ホントに無理かな?」って考えたこともあったし。やり続けたら面白いことがいっぱい出てくるのを実感してますよ。若いころ、先輩たちに「続けることが大事だよ」って言われても「知らねえよ。いつ止めてもいいし」って思ってて。それが、今になって「続けてたら面白いねんな」っていう(笑)。

Tatsuya 最近やもんな、その気持ちがわかってきたの。ただ、これっばかりは時間をかけな無理な話かもしれへんけどさ。

みっともないことも認めた上での強さっていうのが今はある

――そういった気持が芽生えてきたからこそ、『Returning』というタイトルもそうだし、歌詞としてもバンドの回顧録みたいなモノが出てきたんですか?

木下 歌詞に関してはめちゃくちゃ考えて。取り繕いたくはなかったし。今まで一緒にやってきたメンバーの想いはわかってるつもりやけど、今回のことでそれがより一層濃く見えたから。「Tatsuyaは実はこうやったんだ!?」とか「勇介はいろんなモノにバランスを保てるヤツやけど、こういう面は凄く荒いな」とか(笑)。

 あれ、オレだけディスられてる?(笑)

一同 ハハハハ(笑)。

木下 そこまで荒くないと思ってたからさ(笑)。歌詞に話を戻すと、全員の強みや温かさ、オレらがこの歳になったからこそ思えることも書きたかったし。

――タイトル曲でもある「Returning」はまさに回顧録っぽいですよね。

木下 ですね。曲自体もいちばん最初にできたし。

Tatsuya オレらがこの考えに至って、「こういう風にやっていこう」となった原点の歌詞やと思う。

――それにサウンドとしても、もう完全にlocofrankで、その旨味を全部詰め込んだみたいな。

 あ~、完全にlocofrankですね。やっててもそう思うし。

Tatsuya ここまで、ええ意味で振り切ったlocofrankのポップさが出たのって久しぶりちゃうかな? やっぱり、どこかで意識してた「カッコよさを出さなきゃいけない」とか「オレらのまた違った良さも引き出さなきゃ」みたいなことを一切考えなくて。

 Tatsuyaがドラムのフレーズを作ってたときに「あっ、振り切ったな」って感じたのを憶えてて。サビが全部4ビートなんですよ。

Tatsuya 最初は違うのでやったけど、「なんか違うな」と思ったとき、パッと思いついたフレーズをハメてみたら「こっちの方が全然ええやん!」ってなったし。最初は2人にも「全部これでいくん?」って言われたけど、ここはゴリ押して。

木下 たしかに、聴いたときはどうかなと思ったりもしたけど、「Tatsuyaがかっけぇって言うんだったらかっけぇんだ!」っていう。で、やっていくうちにその良さもわかってきたし。

 信頼っていうか、自分がカッコいいと感じるモノだけじゃなく、メンバーがカッコいいと感じるモノもそう思えるというか。そういった主張はお互いにできましたね。

――他にそういった主張したモノって何かありましたか?

Tatsuya 「CALLING」の間奏なんかは、勇介が温めてたフレーズを無理やりもらいました(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

木下 「間奏が出てけえへん」ってなってたとき、スタジオで勇介がポロっと弾いたフレーズが良くて。「別の曲のイントロやねん」って言ってたけど、「いや、それくれ!」と(笑)。

 まあ、そんなこともあったり(笑)。

――凄くいい関係性で制作を進めつつ、しっかりやれてるんですね。

木下 でも、この体制になって、もちろんええことばっかりじゃなくて。「だっさいな、オレら」っていうところもある。そういうのがあったから、「CALLING」の歌詞にも「竦み立つ」って意味で「freezes」という言葉を入れたり。ビビってたらアカンし、みっともないことも認めた上での強さっていうのが今はあると思ってる。だからこそ、この3人でしっかり歩みを進められてるんだろうし。

――これまでと比べて、覚悟が違うような?

木下 今まで覚悟がなかったとはよう言わんけど……

 どっかで甘えがあったというか。

――現実問題として、自分たちの責任でリリースしてるから、失敗すればすべてそのまま返ってくるわけで。極端なことを言えば、自らでバンドに終止符を打つかもしれないというのがリアルですよね。

 それはホントにリアルやった。ただ、最初に3人で話したのが「もうコケるときは笑おう。笑って止めような」っていうこと。その為には、後悔しないようにトコトンやらなアカン。振り返ってみれば、「止めたくないからどうにかして続けよう」って考えたこともあったけど、今はそうじゃなくて、「アカンかったらアカン」って言えるぐらいの気持ちで取り組んでるっていう。

>>vol.02へ続く!!

>>TOPページへ

↑TOP

LINK