まだまだ足りぬとばかりに気炎を上げ続けるlocofrankが約1年半ぶりとなる新 作、4thミニアルバム『WAY』を完成させた。完全DIYスタイルのレーベル運営、 初となったワンマンツアー等、様々な経験を己の体に刻み込んできたからこそ広 げられた新しいレンジがあり、彼らの持ち味はそのままに、多種多様な色を味わ える意欲的な作品に仕上がっている。リリースまでの流れから曲へこめた想い、 現在の彼らが考えるバンドのスタンスまでメンバー3人に語ってもらった。

その延長線上へ進めるよう、そこをしっかり意識してます

――まず、最初に前作『Returning』をリリースから完全DIYでレーベルも運営す るようになったわけですが、ワンマンツアーに主催イベントであるFOUR SEASONS も東名阪に加え福島でも開催。様々な動きを実際に行った感想について聞かせて いただけますか?

Tatsuya(Dr./Cho.) 初めてわかったこともあったし、得るモノは凄く大きかった ですね。その反面というか、ちょっと舐めてたわけじゃないけど、やってみたら ぶっ倒れたこともあって。

木下正行(Vo./Ba.) バンドを始めたころって、自分たちがどうカッコよくなれる かしか純粋に追求してなくて。それは何年経とうが変わらないけど、いろんなモ ノを重ねて吸収して、やりたいことを実現させる為にすべきことのボリュームが 大きくなる。それがバンドに対しての向上なんだろうけど、この3人だけでやろ うとすると知識的にも労力的にも追いつかない部分があったりもして。

――これまでやってきたことはそのままに、また違った作業も増えるわけですしね。

森勇介(G./Vo.) やりたいことをやるって、こんなにたいへんだったんだなって。 これまでがありがたい環境だったことも再認識したし。ただ、凄くやり甲斐があ るなとも感じて。自分たちの力不足であれば悪い結果が出るし、しっかり頑張れ ればそれ以上にいい結果が出る。いろんなことに気づいたし、成長もできたと思 います。

――より意識が高まる部分も出てきたという。

Tatsuya ですね。昔とあからさまに変わったところがあって。やりたいことを思 いついても、なんとなくフワッと消えてたりもしたんですよ、昔は。でも、今は 思いついたらやるしかないし、どう実現してくかっていうところまで考えるみた いな。

 3人もそこまで向き合えてなかったんでしょうね。今はそうしてしまうと露骨 に何も進まないし、やりたいと思ったらすぐに3人で共有するようにしてて。

Tatsuya そういう話ができるようになって、それはライヴにも出てると思います。 結成19年目にして、改めて気づかされたというか。オレらがカッコいいと感じて たのはこうじゃないって。バンドとしてその延長線上へ進めるよう、そこをしっ かり意識してますね。

――新作をリリースするっていうことの意味合いも変わってきたり?

Tatsuya 作品自体にこめる気持ちは変わってないけど、リリースということの捉 え方は若干変わってきたかもしれない。昔って、絶対にしなアカンし、バンドは それありきで当たり前みたいな感覚もあって。今は、湧き上がるモノがなかった ら、マジでせんでもいいって思う。ライヴをツアーでやっていければそれでいいし。

 ただ、その中で自分たちにとって新しい曲が必要やなっていうのもあって。 リリースしなくちゃいけないっていうより、表現したいモノがあるからそうなる っていう。

――凄くシンプルなところに立ち返ったような。リリースしなきゃいけないから 曲を作るんじゃなくて、表現したいモノがあって曲を作り、それがリリースされ るっていう。作品が発表されるという結果は同じだけど、全然違いますからね。

 そういう感じでいこうとしてますね。来年は20周年だから、そこでも作品は 出したいと思ってるんです。だからこそ、今のうちからアイデアを磨いて、いい タイミングで落とし込みたいと考えてるし。

木下 今回だって、3曲しかできへんかったら、そのままシングルとして発表して ただろうし。

――表現したい、必要なモノを作っていったら、この曲数でこういった形になったと。

 誰も褒めてくれへんから自分で褒めるけど、ええミニアルバムやと思う(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。 その人たちから出てくる言葉も、オレたちが思った言葉も物凄くシンプルなこと やった

――最初にパッと聴いたときは、locofrankの得意技といいますか、バンドのカラ ーがしっかり出てる作品だなと感じたんです。でも、もう少し聴き込んでいくと、 やってそうでやってないアイデアも多くて。聴き応えがあるなと感じました。

 嬉しいな~。

木下 それをね、カバーも入れて6曲で伝わるモノにしたくて。ミニアルバムっ ていうサイズは難しかったけど。

 うん、難しかったね。

――これまで結構ミニアルバムは出してますよね。

Tatsuya 4枚目やけど、まあ苦手。オレらはダラダラと喋って伝えたいタイプやから(笑)。

――打ち上げで朝6時から次の店を探すバンドらしい話ではありますけど(笑)。

木下 そうそう、まだ話し足りんって次の店へ行って、また一緒の話するから(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

 やっぱり、このサイズで起承転結を描くって難しいんですよ。

Tatsuya ただ、作ってく段階で無理やりにそう寄せたっていうこともなく。「こ れだったらこっちが合うんじゃないかな?」ってやっていったら、今までに無い モノになったような。振り返ってみれば、出し切れてない部分があったんやろうね。

――まずはどのあたりの曲から制作していったんですか?

Tatsuya ホンマのいちばん最初は「OVERCOME」でしたね。で、「PASSED AWAY」 があって、いちばん最後になったのは「Nostalgic dream」じゃないかな。

――「OVERCOME」は勇介さん作曲ということですけど、こういうキラキラして解放感のある曲調はあんまりイメージになくて。

 そうかもしれないですね。でも、素直に出てきたアイデアだったりはするん ですよ。それと、こういうニュアンスになったのはTatsuyaが編曲したのも大き くて。

Tatsuya 最初はもうちょっとゆっくりなミドルテンポで、キラキラしてるってい うよりも賑やかな感じが強かったかな。それを「こういうのはどうかな?」って 投げ返したら、今の形になって。

――こういう引っ張ってくれるようなノリはそこで生まれたんですね。

Tatsuya こっちの方が歌がスッと入ってくる感じがあったし、今までやってそう でやってない感じやなと。

 8ビートでずっとゴリ押し。オレらではめずらしいと思います。

木下 『Returning』の最後に入ってる「HOME」、あの曲は勇介で。オレからする と、今回の「OVERCOME」と曲調がリンクしてるところもあって。オレに無い部分 やし、ええ曲やなって。

 で、「Odds and Ends」は別な感じで、ゴリゴリの作り方。

――こちらも勇介さんが作曲。サウンド的にも歌詞的にも、怒りに満ちてますよね。

木下 あのメロディーを提示されたとき、「完全にアンチテーゼを出していいやろ」って思いましたね。

――歌詞についてもお伺いしますが、「OVERCOME」はいろいろ経てきたからこそ 書ける青さがあるのかなと感じました。キャリアの浅いバンドが歌ってたら、素 直に受け止められないような言葉も多いし。

木下 メロディーだけを聴いたとき、包み込まれる温かさがあって。「これは包 み込んだろ」って思って書いたんです。

Tatsuya お前はMisiaか!

木下 ハハハハ(笑)。ホンマに青臭いかもしれん、書いてることは。オレたちに とっては東北のこともデカくて。そこにいる人たちと話をして、その経験を書い たことなんやけど、その人たちから出てくる言葉も、オレたちが思った言葉も物 凄くシンプルなことやった。「そのシンプルな言葉に深みをどう出せるか?」っ ていうのはバンドとして試されるんだろうけど、いろんなモノが削ぎ落とされて 出たっていう。

一生関わっていくことなんやったら、ふとした瞬間に思い出せるモノにしたい

――東北っていう言葉がありましたけど、「PASSED AWAY」のMVは宮城県大船渡市にあるKESEN ROCK FREAKSで撮影されてますよね。加えて、歌詞の日本語訳も入れてるのも驚きました。

Tatsuya 今回は曲もそうやし、歌詞もそうやし、撮影した場所やタイミングも全 部含めて、わざとらしく説明してもいいのかなって。その方がもっと伝わるんじ ゃないかと思ったんです。

木下 このMVは日本語訳を入れへんかったら、意味合いとして伝わりにくかった と思うし。

――わかりやすさを求めた提示って、これまでのlocofrankっぽくない気はする んですよね。そういった部分を突っ張ってカッコつけて、踏み込んできた人を本 気で愛するみたいなイメージがあって。

Tatsuya あ~、わかる(笑)。

木下 面倒くせえバンドですね、オレたち(笑)。

――扉を開けっ放しで「誰でも入ってきてください」っていうバンドもいるけど、 locofrankの扉はちょっとだけ勇気いるというか。

Tatsuya たしかに、同じような扉やけど、ちょっと扉は重めやな(笑)。

――中へ入れば、気のいい店主が小粋なサービスをしてくれるけど、っていう。 だから、あのMVは意外な感じもあるんです。

 そのへんはオレたちも変わってるかな。いろんな人に聴いて欲しいっていう のはずっと一緒で、自分たちがカッコいいと思うモノに、たまたまちょっと重め の扉を作ってたのかもしれへんけど、今はそんなこともなく。むしろ、どんどん 入ってきてもらって、そこで判断して欲しいと思ってる。そうしたとき、満足し てもらえる自信みたいなモノもあるし。

――曲としては別れの曲なんでしょうけど、希望もあって。

木下 別れの曲っていうか、仲間に捧げる曲。震災後、オレらも東北へ行かせて もらってるときに知り合った気のいいヤツがおって。

Tatsuya この歳になって、出会いもあるけど別れもちょっと増えてきて。バンド もそうやねんけど、当たり前だったことが当たり前じゃなくなってるっていうか。

――想像はできても、実際に経験すると気づかないこともありますしね。

 毎度毎度、別れを経験するたびにそう思う。

――とはいえ、その別れを悲しむだけじゃ前へ進めないだろうし。

木下 何ていうのかな……凄く普通のことが尊いことなんやなって、歳を重ねて きて凄くわかる。だから、時間が経つことで薄れてしまう部分もあるけど、曲に したらオレらは忘れへんやろうし。そこから学んだこともあるから。

Tatsuya 例えば、震災も時間が経ってきて、風化してきてる感もある。だからと いって、オレらは風化させない為にやってるわけじゃないけど、一生関わってい くことなんやったら、ふとした瞬間に思い出せるモノにしたい。そこに固執する 必要はないけど、誰かがやらんといかんと思うし。

でっかい扉の横についてる勝手口みたいな、そういう余白があってもいい

――また、「Intertwining」は凄く優しいニュアンスですよね。語りかけるような歌い方でもあって。

 これはコンセプトありきで作った曲なんですよ。Tatsuyaが今回の制作にあた って、「オレらをオレらとして見せるだけじゃなく、お客さんも含めて、みんな で1曲になるモノがあったらいいんじゃないか?」って激烈にムズい難題を提示 してきて。前だったら「そういうのはあんまりカッコよくないんじゃないか?」 て感じる節もあっただろうけど、今はアリかなって思うし。

――たしかに、中盤もそうですし、終盤のコーラスワークとか、人と人との関わり合いをイメージしたんです。そこは今のバンドのスタンスっぽいなと。

Tatsuya そうなんですよね。それに、MVがまた新たな試み。これもたくさんの人 に観て欲しいんやけど、最初の企画段階で「どうせ巻き込むやったら全員を巻き 込みたい」と考えて。例えば、好きなバンドのMVが公開されたとき、友達とかに 「めっちゃいいから聴いてや」って言うたりするけど、そこに「実はオレも出て るねん」っていうのがあったら、余計に楽しいだろうし。ちょっと違う間口の部 分、でっかい扉の横についてる勝手口みたいな、そういう余白があってもいいの かなって。

――しかし、ホントに変わりましたね、locofrankというバンドは。

木下 歳を食ったせいか、笑うんならみんなで笑いたいし。さっきもそんな話に なったけど、前やったら、入り口が狭かったり、「オレたちのやってることに文 句ある?」みたいな部分もあったんでしょうね。

 一方通行っていうか、オレらがいかにカッコよくするかにすべてをかけてた し。

木下 今は「触れてくれたんであれば、とことん笑顔になりたいし、笑顔にさせ たる」って思う。いろんな人に聴いてもらいたいっていうのはずっと変わらない し、もうちょっとこっちからアプローチしてもいいよなって。

――そう考えるのは、『Returning』ツアーが全公演ワンマンだったというのは大きかったように思います。

 単純に、オレたちだけが提示してるライヴじゃダメだなって思いましたね。 そういう部分は今でも必要だし、大事なモノではあるんだけど、そのプラスアル ファが絶対にいる。

Tatsuya それが成立するバンドもいると思う。今までのオレらは、それを成立さ せたかったバンド。だけど、ワンマンツアーをやってわかったのは、今のオレら の人間性もあるし、この3人が集まって音を出してることを考えるとそうじゃない。

木下 もうちょっと言うと、深く考えることに疲れたからこうした、っていうわ けじゃなくて。やりたいことをやろうとしてるだけ。それが、笑いたいならとこ とん笑おうってこと。で、ちょっとカッコつけてる曲ができたら、カッコつけれ ばええし。もし、それが「3人の力量を越えてまでやることか?」って思ったら、 ちゃんと疑問符をつけようとするし。

――幅が広がったんでしょし、多面的にもなったという。

木下 いろいろ経験させてもうてきたからやと思いますね。

Tatsuya じゃなかったら、この作品のMV2本、こんなに両極端にならへん(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

木下 「Intertwining」のMVはお客さんにもたくさん参加してもらってるんやけ ど、よくライヴに来てくれてMVにも参加してくれた子が「大丈夫なんですか?」 って心配してたし(笑)。

――熱心なファンが不安になるMVって新しいですね(笑)。

Tatsuya ちょっと前のオレらやったら、完全にアウトやと(笑)。

木下 でも、それぐらい楽しいモノになったらええなって。

ライヴ映えも良さそうだし、現場で化けていく曲かもしれない

――そして、最後に完成したという「Nostalgic dream」ですが、凄く作品のバランスをとってるというか。

 そうですね。こういう曲、ウチはホントにやってなくて。

木下 うん、新しい形ではあるかな。

――テンポ感も言葉の詰め方もまた違ったニュアンスがありますし、いい曲ですよね。

Tatsuya 若い世代のバンドマンや関係者は「この曲のMVは撮らないんですか?」って言ってきたりして。

木下 そういう発見もあったり。こういうのもシンプルで聴きやすいんだなって。

――バンドの意思表示のような歌詞も印象的ですし、いい広がり方をしそうな予感がありますよ。

 ライヴ映えも良さそうだし、現場で化けていく曲かもしれないですね。

Tatsuya 先日、ワンマンで初披露したんやけど、今までの新曲の中でも、驚くぐ らいお客さんがウワッと前へ来て。作品が世に出て、みんなの中に曲がより浸透 していけば、いいキッカケを作ってくれそうな感じもありますね。

――加えて、要所要所で挑戦してるカバーですが、今回はBoz Scaggsの「WE ARE ALL ALONE」でした。数多くのミュージシャンがカバーしてるド名曲ですよね。

 思うねんけど、Hi-STANDARDのカバーってやっぱりカッコよくて。ちょっとそ うなりたいところはある。「locofrankのカバー、かっけぇ!」って。

――カバーでセレクトする曲って、一貫した匂いがあるように思います。

Tatsuya そうですね。メロディーがスッと入ってくるっていう大前提がまずあっ て。それを自分らで昇華したとき、どういう聴こえ方をするのかも面白いし、オ レらを知らんヤツらのキッカケになればいいと思うし。ただ、昔はカバーだとわ かりにくい曲をやろうという意識はあったかもしれへん。例えば、Richard Marx の「Now & Forever」とか、日本でめっちゃ浸透してるかと言えば、そうでもない し。

――知ってる人は知ってるけど、っていう感じですね、そのあたりは。

Tatsuya そういう意識がなくなったのはCarpentersの「I NEED TO BE IN LOVE」をやったあたりから無くなってきて。今はもっと極端にわかりやすていい と思ってます。それに、失敗したとき、それを自分らが実感しやすいし。そういう意味では、カバーの仕方が難しくなってきたけど、面白味も増えてますね。

ドキドキやワクワクが1回でも多く生み出せるように

――リリース後はもちろんツアーがありますが、今回もワンマンなんですね。

Tatsuya これに関しては大きな理由もあって。今年もFOUR SEASONSをやるって 発表してるけど、今回はツアー形式でやろうと企画してるんです。これまでみた く、大きなハコでドーンとやるんじゃなくて、ライヴハウスをそうやって廻りた い。そうなったとき、リリースツアーとの住み分けが難しいっていうか。

――ザックリと言ってしまえば、どちらも対バンのツアーですし。

Tatsuya だったら、自分たちだけで完結できる違うのを作ろうと考えて、ワンマ ンでやろうかなと。

木下 個人的なところで言えば、『Returning』ツアーではノドをぶっ壊して、そ のリベンジなのもありますし。

――『Returning』ツアーでは結構な曲数だったと記憶してます。

Tatsuya 30曲近くはやってたかな。でも、ワンマンだから絶対に長くしなくちゃ とは思ってなくて。とにかくたくさんの曲をやって楽しませるんじゃなくて、1日 のライヴとして考えたときにベストな曲数、しっかりした流れを作った上で観て もらいたいから。

――同じリリースツアーのワンマンになりますけど、また違った雰囲気にはなりそうですね。

Tatsuya 今回はミニアルバムで6曲だし、過去にリリースした作品の曲がより入 ってくるから、各会場で違った幅の広さがあるワンマンになると思います。

木下 懐かしい曲をやれば、待ってました感もあるだろうし。オレたちにとって は、久しぶりだからちゃんとできるかどうかっていう、ヒリつく部分もあるけど (笑)。ドキドキやワクワクが1回でも多く生み出せるようにできればいいですね。

interview by ヤコウリュウジ